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第4章

  

  さがいつか身を滅ぼす気がしてしょうがないけどな……」

  …………。

  彼女である戦場ヶ原よりも先に、その後輩の神原とデートをすることになってしまった…

  …。あのツンデレ女にしては珍しいことに、戦場ヶ原は神原には異様に甘いから、これが浮気

  扱いされるということはないだろうが、これは意志薄弱の謗りをまぬがれないよなあ……。

  ちなみに、そんな話をしている間も、手は繋ぎっぱなし、指は絡まりっぱなしである。さり

  げなく振りほどこうと試みたのだが、スクラムのようにがっちり組みあっていて、びくともし

  ない。なんだか知恵の輪みたいというか、関節技でも極められている気分だ。

  蛇に絡まれてる感じ。

  「けど、神原。一応、そのアウターの前は閉じとけ。山に入るのにへそ出しっぱなしってのは

  いかさままずいだろ。クラッシュジーンズは――まあ、気をつけりゃ大丈夫なレベルか」

  「ふむ。では仰せの通りに」

  言われるがままに、上着のボタンを閉じる神原だった。くびれたウエストが見えなくなる。

  おおぎょう

  むだ

  おろ

  はなは

  そし

  き

  おお

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  ちょっとばかり残念な気がしなくもないが、そういった邪な感情は彼女の後輩に対して向ける

  べきものではないはずだ。

  「じゃあ、行こうか」

  「阿良々木先輩、そう言えば今日は徒歩なのか?」

  「ああ。向かう場所が山だからな。どこに駐輪場があるかもわからねえし。一台しかない自転

  車を盗られちゃ敵わない」

  外出用のマウンテンバイクは、木っ端微塵にされてしまったからな……誰かさんの『左腕』

  によって。まあ、嫌みったらしくなってはいけないから、いちいちそんなことは言わないけれ

  ど。

  「それに、そんな遠出ってわけでもないしな。ほら、神原、もうこっからでも見えるだろ?

  あの山だよ――」

  と言いながら、僕はふと、思い出す。先月、神原と会話をするようになって間もない頃、神

  原は戦場ヶ原を慕うあまり、その彼氏と身体が接触することを嫌い、僕の自転車の後部座席に

  乗ることを辞して、自転車の横を伴走するという常識的観念からすればびっくりするような選

  択をしたことがあった。……そんな彼女は、今、僕と手を繋いで、指を絡めて、胸をぐいぐい

  押し付けてきている……。

  「ふふふ」

  神原は無邪気ににこにことはにかんで、スキップするような足取りだった。

  「阿良々木先輩、阿良々木先輩、阿良々木先輩、阿良々木先輩、阿良々木先輩~~~」

  「………………」

  なつかれちゃったなあ、おい!

  鼻歌交じりだよ!

  「ところで、お前さ……神原。前から言おうと思ってたんだけど、その、阿良々木先輩って

  の、やめないか?」

  「え?」

  想定外のことを言われた感じに、きょとんとする神原。

  「どうしてだ? 阿良々木先輩は阿良々木先輩だろう。阿良々木先輩を阿良々木先輩以外の呼

  称で呼ぶなど、考えられない」

  「いや、それ以外にも色々あるだろ」

  「気仙沼先輩とかか?」

  「名前の方を変えるな」

  そっちじゃねえ。

  よこしま

  と かな

  こ ぱみじん

  した

  じ

  むじゃき

  ま

  けせんぬま

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  誰だよ、気仙沼。

  「僕が言ってるのは『先輩』って呼称の方だ。なんだか畏まってる感じじゃん」

  「そう言ってくれるな。事実、畏まっているのだ」

  「うーん。そりゃ、まあ、確かに僕はお前の先輩だけどさ。でも、なんだか生真面目過ぎるっ

  ていうかさ。『阿良々木先輩』って、フルネームよりも長くなっちゃってるし」

  僕のフルネームは阿良々木暦。

  あららぎこよみ。

  七文字。

  『阿良々木先輩』は八文字だ。

  「ふうむ。となると、『阿良々木さん』とでもすればよいのか?」

  「まあ、そうなるのかな? でも、一個くらいの年齢差なんだから、そんな改まらなくてもい

  いと思うんだよ。いちいち堅苦しいだろ? つーか、僕、『さん付け』ってなんか落ち着かな

  いんだよな。僕をそんな風に呼ぶ小学生がいるけど、あいつは言葉遣いそのものが馬鹿丁寧だ

  からな」

  性格は最悪だが。

  ああ、そういや最近見てないな、八九寺の奴。

  …………。

  ちょっと寂しい。

  「戦場ヶ原のことで色々あったけどさ、僕としてはお前とはもうちょっと対等な関係でいたい

  と思ってんだよ、神原」

  「なるほど。嬉しいお言葉だ」

  「まあ、学校一のスターのお前相手じゃ、僕の方で釣り合いが取れないかもしれないけど」

  「馬鹿な、そんなことなどありえない。阿良々木先輩とこうしていられる幸福を、私は何より

  かけがえのないものだと考えている。戦場ヶ原先輩と和解できたことと同じくらい、阿良々木

  先輩と知り合えてよかったと考えている。私が阿良々木先輩に対し不満に思っていることがあ

  るとすれば、それはどうして私ともっと早く出会ってくれなかったのかということだけだ」

  「……そっか」

  本当に自己評価の低い奴だ。

  ま、先月聞いた話を思えば、わからなくもない。

  こいつにも、色々あるのだ。

  「では、阿良々木先輩、察するに、私は阿良々木先輩のことを、もう少し親しげな風な呼び方

  をしてもいいということなのかな?」

  かしこ

  あらた

  はちくじ

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  「ああ。何とでも呼んでくれ」

  「では、暦」

  「………………」

  …………。

  僕のことをそう呼ぶのは両親だけだ……!

  「暦も私のことは、駿河と呼んでくれていいぞ」

  「だからなんでお前はそんなに僕と付き合っている奴っぽいんだよ! そんな重要イベントを

  どうして彼女の後輩と迎えてるんだ、この僕は! 戦場ヶ原だって僕のことはまだ『阿良々木

  くん』って呼んでんだぜ!? どんな一足飛ばしだよ!」

  「暦は突っ込みが激しいな。今のはわざと、つまりボケに決まっているではないか、暦」

  「それにしては呼称が直ってねえぞ駿河!」

  「『駆け抜ける迅雷の騎士』暦」

  「お祖父ちゃんにつけてもらった僕の名前に勝手なキャッチコピーを冠するな! 駆け抜けも

  しねえし迅雷でもねえし騎士でもねえよ! そもそもそれじゃフルネームの三倍くらい長く

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